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毎年5月3日から5日に静岡の浜松市で行われる浜松祭りは日本の有名な祭りのひとつであり、 毎年約200万人の観客を動員します。3日間の期間中、さまざまなイベントが催され、 市内は興奮のるつぼと化します。 日中は凧合戦が中田島砂丘で行われ、 夜が近づくと共に市街地へと場所を移し、 見ごたえのある山車が町中を練り歩きパレードを行います。また、 観客は伝統工芸品まつりやブラスバンド、 ミス浜松コンテストなども楽しむことができます。

この祭りは一説によると今からおよそ400年前(1558~1569年)に、 当時の浜松を治めていた引間城主の長男の誕生を祝って凧を揚げたことが、 凧揚げの起源であると言われていますが、 正式な記録としては残ってはいません。

記録に残っているものとしては、 寛政年間(1789~1800年)の記録に凧についての記載があります。 「遠州のからっ風」と呼ばれる強い風が吹くこの地域は、 凧揚げに好条件であり、 子供の誕生を祝う「初凧」の伝統は、 浜松まつりとして今もなおこの地に根付いています。

凧合戦

田島砂丘の凧揚げ会場では花火の合図とともに、 170機以上の町内オリジナルの紋章がデザインされた凧がいっせいに5月の空へ舞い上がります。 まず揚げられるのは長男・長女の誕生を祝う「初凧」と呼ばれる凧です。 まつりの正装をまとった小さな「主役」も父親の腕に抱かれてその瞳で自分の凧を見つめます。 続いて激闘を鼓舞するラッパの音とともに数百人が入り乱れて闘いが始まります。

凧揚げ合戦では、町内同士の凧を操って太さ5mmの麻糸を互いに絡ませ、 摩擦のみによって相手方の糸を切りあいます。 このとき摩擦で糸が焼け白煙が立ち上がり、 焦げたにおいが漂います。 凧は風そして腕で高く舞い上がり、 興奮が興奮を呼び、 会場をぐるりと取り囲む大観衆からはどよめきが起こります。

御殿屋台引き回し

80以上の町内が御殿屋台と呼ばれる山車で市街地を練り歩き、 美しさを競いあいます。 昔から凧合戦と並んで、 凧揚げから戻る若衆たちを出迎えるために簡素な屋台で練り歩いたのが元祖といわれています。 現在では山車の多くが御殿屋台と呼ばれるのにふさわしく絢爛豪華な彫刻を施され、 笛と太鼓のお囃子の子どもたちを乗せて一層華やかになっています。

夜が近づくにつれて、 三味線のベテランの伴奏のもと、 御殿屋台は動き出します。 美しく着飾った子どもたちのお囃子によって祭りは一気にクライマックスを迎えます。

おまつり広場

期間中は様々なイベントが浜松市内各地で催されます。 最も人気があるのはブラスバンドのパレードです。 (浜松市は音楽の街として知られています)

ブラスバンドのパレードは浜松のメインストリートである鍛冶町通りで行われ、 浜松まつりの華として定着しています。会場であるアクトシティ、 ザザシティでは市民も観光客も楽しめるイベントが目白押しです。

浜松まつり初心者ガイド

凧の大きさ

凧合戦に使用する凧の大きさは、2帖から10帖までで、4帖から6帖が最も適しています。
1帖は美濃大判紙12枚で1.25m四方、 4帖は48枚で2.4m、 6帖では72枚で2.9m四方。 10帖となると120枚で3.64m四方にもなります。

道具類

太鼓
凧糸を引くリズムや、 色々な合図に使う町もありますが、 主に士気を鼓舞するために使われます。

ラッパ
ラッパの吹き方で凧揚げのリズムを指示したり、 盛り上げるために使われます。

糸枠
大きな糸巻きは糸枠とよばれます。 大きな凧を揚げるためには大きなものが必要です。

テギ
糸を引く時に使う滑車のような器具のことです。 糸を出し引きする作業を手を使ってやっていると摩擦で熱くなるため使用します。

お囃子

浜松まつりのお囃子はとても独特です。 一般的なお祭りのお囃子と違って、 歌舞伎の曲目が演奏されているのです。

 

練り

とは町内の旗を持った人を先頭に、 提灯を持った何十人もの人々が行進することです。 ラッパと太鼓の音に合わせてすり足で「おいちょ、 おいちょ」と掛け声をかけながらリズムカルに進みます。 まるで祭りの興奮の渦のように、 押し合いへし合いして楽しみます

浜松まつり会館

浜松まつりの情熱と興奮が体感できるまつり会館。 浜松まつりについてのすべてを学ぶことができます。

開館:9:00-16:30(毎月第三月曜日および年末年始は休館)

 

〒430-0845 浜松市南区中田島町1313

TEL & FAX 053-441-6211

浜松観光インフォメーションセンター

浜松と静岡西部の観光情報を提供しています。 英語を話せるボランティアガイドも在籍しています。

 

営業時間:9:00-19:00

〒430-0926 静岡県浜松市中区砂山町265-16浜松駅構内

TEL 053-452-1634 , FAX 053-413-5920

URL: http://hamamatsu-daisuki.net

すべての情報は浜松コンベンションビューローよりご提供いただいたものです。

内灘のフェスティバル終了後、その日のうちに私たちは金沢駅から浜松へ移動しました。 途中、 米原、 名古屋を乗り継いで総勢11人での4時間程度の電車移動でした。

疲れていたせいか、 その夜は個々に軽く食事を取ったのみで早めに就寝しましたが、 夜遅くまで、 浜松まつりのラッパと太鼓の音の独特のリズムが遠くから聞こえてきていました。

翌朝、目が覚めると小雨がぱらついていましたが、 空気はとても澄んでいました。

同じホテルに宿泊している人々の多くは浜松まつりを見物するために日本全国からいらっしゃったようで、 私の故郷である新潟から24人の団体で見に来られた方ともお話をしました。 その方の地元でも凧が盛んで、 毎年見に来られるそうです。 (新潟と浜松は約500km離れています)

天候には恵まれませんでしたが、浜松まつりは最終日を迎え盛り上がりは最高潮に達していました。 浜松まつりは毎年5月3日~5日に行われます。小さな子どもから大人まで、 町内の揃いの法被に身を包んだ人々が次々にバスで凧揚げ会場最寄りの浜松まつり会館前に到着します。 そして列を作ってラッパと太鼓を鳴らしながら凧揚げ会場へ向かうのです。

また、凧合戦では今年は174ものチームが参加、観客は3日間合計で1,480,000人だったとのこと。雨と微風のせいで残念ながら凧合戦の様子は見ることはできませんでしたが、 数十の凧がわずかな風を捕えて揚がっており、それだけでも会場はものすごい熱気でした。

また、本来ならば見物客は凧を揚げることはできないのですが、 茂出木会長のご友人のチームのご厚意で私たちは幸運にも、 そのうちの一つの凧を揚げさせていただく機会がありました。 全員に軍手が配られ、糸をしっかりと握るように指示されて糸を引き始めたのですが、 そのパワーは驚くべきものでした。 普段スポーツカイトに親しんでいるので風のパワーのすごさは知っていたつもりだったのですが、 はるか上空に揚がった凧の引きの強さは比べ物にならない程でした。

地元の子供たちがオバマ大統領の名フレーズである「YES WE CAN!」 を大きな声で合唱して応援してくれる中、 私たちは夢中で糸を引き続けました。 その間、おそらく2~3分程度だったと思うのですが本当に驚くべき体験でした。

凧揚げ会場近くにある浜松まつり会館では日本中の凧が集められ、 御殿屋台の引き回しに使われるという屋台の歴史や凧合戦のあらまし、 凧のための専用糸(1機につき約1600m使用するそうです)を作る機械や原料、 合戦の様子のビデオなど充実した内容の展示品を見ることができました。

専用の糸は太さ5mm程度で天然の麻を原料とし、 浜松まつり会館のみで造られています。

まつり会館ではこの3日間の祭りの為に1年中糸を作っているそうで一巻きの糸が約200m、1機の凧を揚げるのに8巻きの糸を必要とするそうです。 凧合戦では凧と凧の糸を絡めて摩擦力のみで糸を切るので、 焦げて切れた糸や千切れた糸も展示してありました。 凧揚げ会場でも一度濡れてしまうと乾きにくいため、 多くのチームが糸巻きをビニールで覆うなど苦労をしていらっしゃいました。

まつり会館の展示物の中で最も興味をひかれたのは、 浜松まつり会場から糸が切れてしまったまま千葉県まで飛んで行った凧の写真でした。 浜松から千葉までは約200kmの距離があります。

その様子は当時の新聞やテレビのニュースでも報道されました。 偶然にも凧が不時着した近所の方が浜松のご出身で浜松まつりの凧だということがわかったそうです。

内灘・浜松では4日間と短い時間ではありましたが、JKAの皆さま、内灘・浜松の皆さまとの交流ができたことを本当にうれしく思います。

また、茂出木会長、JKA役員の皆さまには心より御礼を申し上げます。

またお会いしましょう。

岸 貴子